毎日、新聞を読むの大変ですよね。ビジネス会話で使えるトピックを短時間で把握したい方、必読です。1日1つ日経新聞から記事をピックアップして関連知識を解説します。7日分で約7分で読めます。短時間で『知ってるビジネスマン』に変身しましょう!
【執筆者プロフィール】
松本タケル〔ペンネーム〕 大手企業で特許戦略に携わる弁理士。法律だけでなくネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストの資格を有しITにも精通。TOEIC 850点。趣味はスキルアップとビジネスに役立つ知識を収集すること。
*PEST分析(Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術))のいずれに該当するかを明示しています
*10月11日(月)は日経新聞朝刊、休刊日でした
さようなら、パスワード
さようなら、パスワード
2021年10月12日(火) 日経新聞朝刊
マイクロソフト、顔認証など標準
IT(情報技術)システムの認証からパスワードをなくす動きが広がっている。
米マイクロソフトはメール「アウトルック」やチャット「チームズ」といった自社アプリで顔認証などを標準とした。
【Technology(技術)】テレワークが広がり、社外から会社のデータにアクセスすることが多くなりました。パスワードが漏洩した場合のリスクは日増しに大きくなっています。そこで、この記事のように生体認証を導入する動きが強まっています。
私の会社は記事にもあるマイクロソフトのチームズを使っていますが、まだ顔認証は使えないようです。チームズはビジネス用のLINEみたいなものです。私はこれまで、そんなLINEみたいなものがビジネスに使えるのか? と半信半疑でした。しかし、今は無いと仕事が進まないほど必須になってしまいました。
まず、便利なのが返信です。メールはお礼を返す場合でも「ありがとうございました」と文章をそれなりに入力する必要があります。それに対し、チームズでは「いいね」ボタンを押すだけで返答になります。チームズ経由でオンライン会議もできますし、データも保存できます。
コロナ蔓延の直前に会社に導入されました。その後、テレワーク生活に入ったのですが、このシステムが入ったあとで本当に良かったと思うほどです。社外での利用が便利になった分、セキュリティには本当に気を配らないといけないなと思います。
特許の公開制限 経済安保法案に 自民・甘利幹事長インタビュー
特許の公開制限 経済安保法案に
2021年10月13日(水) 日経新聞朝刊
自民・甘利幹事長インタビュー
政府が2022年の通常国会に提出を目指す経済安全保障の推進法案に公開を制限できる特許の仕組みを明記すべきだと述べた。
【Politics(政治)】特許は公開されるので、軍事技術に転用される可能性があるので非公開の仕組みが必要との、甘利氏の発言があります。
記事には「特許を取得したら公開される」と書いてあります。これは正確ではありません。「特許の取得」というのはまず不正確です。おそらく「登録」のことだと推察します。
特許を出願すると、1年6月後に一般に公開されます。これは、特許が登録されるかどうかに関わらず公開されます。特許は出願されても自動的には審査されず、3年以内に「審査請求」を行います。これがされて初めて審査官が審査をします。
特許が登録されなくても公開されてしまうので、技術漏洩の可能性があるのは事実です。公開公報は世界中から見られるので、それを見て海外で真似される可能性があります。特許は国ごとに発生するので、真似された国で実施されても、その国で登録特許を持っていなければ対抗することができません。
私も企業の知財部門にいますが、企業も漏洩には気を使っています。必要以上の内容を記載しないように注意しています。甘利さんのインタビューの懸念は正しいですが、企業がどの程度、漏洩に気を配っているかもしっかりヒアリングすることが必要な気がします。
日鉄、トヨタを提訴
日鉄、トヨタを提訴
2021年10月15日(木) 日経新聞朝刊
中国・宝山も 鋼板特許侵害で
日本製鉄は、電動者のモーター材料となる鉄鋼製品で自社の特許を侵害されたとして、トヨタ自動車と鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。
【Technology(技術)】今回の提訴は特許業界に身をおく私としては大変驚きでした。日本企業が自分の会社のカスタマを直接、特許で訴えることが極めて少ないからです。
今回の訴訟は「無方向性電磁鋼板」というモーターに使われる高利益率な鋼板について、日本の特許で行われました。訴訟の背景には、トヨタが調達先を中国にも広げたことがありそうです。トヨタは大きな利益を上げていますが、部品供給先には厳しいコストダウンを求めます。納入価格について折り合いがつかなかったなどの事情があると考えられます。
部品の特許について完成品のメーカーを訴訟することは可能です。完成品メーカーも特許を実施していると言えるからです。一方、完成品メーカーと部品メーカーは契約で、部品が他社の特許を侵害している場合は、訴訟費用や賠償金を一定の範囲で完成品メーカーに支払うように約束していることが多いです。
特許の使用が認められても、トヨタは宝山にその分を求償することになると考えられます。しかし、被告にお客を入れることのインパクトはお金以上のものがあります。ちなみに海外のメーカーは、顧客であっても特許を侵害していれば、催告・訴訟を何のハードルもなく行ってきます。
日本企業も考え方が欧米化してきているのかもしれません。
創薬の「目」、原子まで撮影
創薬の「目」、原子まで撮影
2021年10月15日(木) 日経新聞朝刊
新顕微鏡、中外など導入
創薬の標的となるたんぱく質を作る「目」や「頭脳」が進化している。分子を撮影する「クライオ電子顕微鏡」は分子レベルの解像度に達した。
【Technology(技術)】この顕微鏡はタンパク質などの試料を急速に凍らせて、電子線を当てて撮影して構造を調べる装置だそうです。新薬の候補物質を作るのが容易になるそうです。
これまでは扱いが難しい装置だったとのことですが、最近は自動化されて扱いが容易になっているそうです。コロナウイルスをはじめ、突然の細菌、ウイルスがまん延することが今後も起こり得ます。その備えのためにハイテク装置を使いこなすことは重要ですね。
米、独禁法改正でIT追及
米、独禁法改正でIT追及
2021年10月16日(金) 日経新聞朝刊
上院も「自社優遇禁止」案
上院は14日、自社サービスなどのプラットフォームで自を優遇することを禁じる法案を発表した。
【Politics(政治)】これは、プラットフォーム企業が検索結果で自社製品やサービスを優先的に表示することを禁じるものです。
アマゾンが自社のプライベートブランドを上位に表示したりする行為などです。そのた、複数の法案が審議されているそうです。
一方、こうした規制に反対する議員もいるそうです。私もアマゾンをよく利用します。アマゾンに入っている他のショップちょりも、アマゾン直販の商品を買うことが多いです。
何となく信頼感が高い気がするからです。IT企業のデータの独占を問題視するのは理解できますが、ユーザー視点で安心化や利便性が低下しないようにすべきだと思います。
自社専用 未来の天気予報
自社専用 未来の天気予報
2021年10月17日(日) 日経新聞朝刊
東京理科大学の仲吉信人准教授らは手のひら大の気象センサーを開発した。
【Technology(技術)】このセンサーは従来の100/1ほどの小ささだそうです。気温・湿度・風速・日射量などを測れるそうです。
小さいので街中に設置できます。これにより細かい範囲での状態が分かるので、あなた専用の天気予報などができるだろうということです。
地球温暖化で暑い日が多くなり、それにともなって熱中症も増えてきています。各人の体温などと統合して「危険なのでXXで休んでください」みたいな指示を捨てくれるサービスが遠からず出てくるのかもしれませんね。