毎日、新聞を読むの大変ですよね。ビズネス会話で使えるトピックを短時間で把握したい方、必読です。1日1つ日経新聞から記事をピックアップして関連知識を解説します。7日分で約7分で読めます。短時間で『知ってるビジネスマン』に変身しましょう! 中国が自国のIT企業を規制する記事が印象的でした。
【執筆】松本タケル〔ペンネーム〕 大手企業で特許戦略に携わる弁理士。法律だけでなくネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストの資格を有しITにも精通。TOEIC 850点。趣味はスキルアップとビジネスに役立つ知識を収集すること。
中国の、滴滴 違法行為認定
中国の、滴滴 違法行為認定
スマホアプリ ダウウンロード停止中国のネット規制当局は4日、中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)のアプリで個人情報の収集と利用に関する法律や規制の重大な違反を確認したと発表した。
2021年7月5日(月) 日経新聞朝刊
日本ではなかなか理解しにくいほど厳しい対応です。滴滴は、新規登録の停止、ダウンロード停止を通知されたとのことです。これまでにダウンロードしたアプリは継続して使用できるとのことです。
滴滴は今月に米国で株式上場をしたばかりで、時価総額は約8兆円にのぼっています。そこから数日でこのような対応がなされたことの真意はわかりません。
昨年11月にはアリババ傘下のアント・グループが香港で上場を延期するというニュースがありました。アリババ創業者が金融当局への不満を述べたことが関係していると言われています。
自国企業を優先してきた中国ですが、意に反する場合は自国企業でも攻撃をするのかもしれません。日本企業も多くが中国に進出しています。改めて中国ビジネスの難しさを感じます。
中国、米への情報流出警戒
中国、米への情報流出警戒
滴滴などネット企業3社を審査
「米で上場」が共通項3社に共通するのは、6月に米国上場し、有力株主に米国など外国企業が含まれることだ。
2021年7月6日(火) 日経新聞朝刊
昨日の記事と関連するものです。やはり、強く米国を意識しているようです。
当局によると、国家安全法とサイバーセキュリティ法に基づいて審査しているとのことです。米国が中国企業の製品を排除しようとしている動きに対応するものに見えます。米国などへデータが流出することを懸念しているのでしょう。
上場後にこのような対応がされることは資本市場のルールを軽視したものだといえます。米中の国家の思惑が企業活動へ影響し始めています。中国の自国企業であっても資本が国外なら容赦はしないという見せしめのようにも見えます。
中国、海外上場の規制強化
中国、海外上場の規制強化
証券法を適用除外 データ越境を警戒中国政府は6日、中国企業の海外上場の規制強化をすると発表した。
2021年7月7日(水) 日経新聞朝刊
前日、前々日を連続して報道されている中国の規制について関連する記事です。海外上場の中国企業について国境を超えるデータの流通などの法律・規制を整備するそうです。昨日の滴滴の規制で株価は25%下落したそうです。
これまで中国政府は民間企業に情報活動の協力義務を課してきました。今後も不透明な介入が続けば、ネット企業の株価下落、イノベーション自体の阻害にもつながりかねないと懸念します。
EV航続5割増
EV航続5割増
ダイキン、省エネ空調冷媒 25年めどダイキン工業は電気自動車(EV)のエアコンに使う省エネ性能の高い冷媒を開発した。エアコンに使う電力を大幅に減らし、EVの航続距離を最大5割伸ばせるという。
2021年7月8日(木) 日経新聞朝刊
新たな冷媒は沸点を従来より低くし、圧縮に必要な電力を減らせるそうです。全個体電池のように新たな技術で蓄電できる量を増加させようと開発が進められていますが、この記事のような技術を使うことで、現在のバッテリーを搭載したEVの価値を高めることができ
ダイキンはこれまでも新冷媒の拡大を上手にやってきた会社です。
R32という環境負荷が小さい冷媒を普及させるために、特許を無償解放しています。ここR32は温暖化係数は良いのですが、規格上「可燃」という区分にはいりました。これでは印象が悪いと考え、ISOのルールを変更するように働きかけ、可燃の下に「微燃」という区分を新たに作り、イメージアップを図ったことがあります。今回の冷媒も普及を図るために、様々な施策を取るのかもしれません。
米でグーグル包囲網
米でグーグル包囲網
37州・地域でアプリ配信提訴米競争当局がグーグルに対する包囲網を広げている。
2021年7月9日(金) 日経新聞朝刊
スマートフォンなどのアプリサ配信サービスが反トラスト法(独占禁止法)に停職してるとして提訴した。
アップルもオンラインゲーム「フォートナイト」を開発するエピックゲームズにより提訴されていますが、そのグーグル版といったところです。
類似したケースですが、状況は少し違います。アップルは完全に他社の配信を締め出していますが、グーグルは容認しています。
利用者からみれば、セキュリティ的にはストア経由でしかアプリを配信しないアップルのほうが高いと言えます。一方、アプリ開発者側としては、配布ルートが限定されるデメリットもあります。私もとあるアプリの開発に関わったことがあるのですが、iPhone向けのリリースの方がAndroid向けよりも審査に時間が掛かったことがあります。両者の違いは会社の商品に関する違いとも言えます。アップルは自分たちでクローズドな世界を作る思想で、グーグルは開かれたオープンな世界を作る思想といえます。どちらが正しいというわけではありません。メリット・デメリットは双方にありますし、ユーザーも好みがあることでしょう。
ちなみに私はAndroid派です。何を買っても高額はアップルの製品はあまり好みではありません。
アップルもグーグルも最大30%の決済手数料を義務付けており、これが法外に高いと非難されています。世界的な課税ルールでもGAFAがターゲットになっています。巨大ITへの規制が多方面になりつつあると感じます。
プライム上場へ資本政策
プライム上場へ資本政策
2021年7月10日(土) 日経新聞朝刊
企業、流通比率引き上げも
東京証券取引所1部上場の約3割にあたる664社が2021年4月に発足する「プライム市場」にこのままでは移れないことになった。
2022年4月からこれまで、東証1部、2部、ジャスダック、マザーズに分けられていた取引市場が3つに再編されます。「プイラム」、「スタンダード」、「グロース」の3つです。
プライムに該当するには流通時価総額が100億円以上などの要件があるそうです。また、市場に流通する株式が35%以上という条件もあります。また、スタンダードは流通時価総額が10億円以上、グロースは流通時価総額が5億円以上となっています。
今回、プライムの基準に該当しなくなった企業は改善策を提示すれば当面はプライムに上場できるそうです。また、異論があれば情報を追加して再計算を要請できるそうです。
これまで東証1部だった企業は何としてもプライムに残りたいと思うでしょう。そのために大株主による株式売買などを通じて流通株式を増やすなどの対応が必要になるでしょう。
法人課税 10月決着へ詰め
法人課税 10月決着へ詰め
2021年7月11日(日) 日経新聞朝刊
G20 独自デジタル税撤廃など
G20は経済のグローバル化とデジタル化に対応した国際的な法人課税ルールの大枠で合意した。
先日、経済協力開発機構(OECD)が事務レベルで合意した内容をG20として承認したとの記事です。
巨大ITへの風当たりが厳しくなります。各国の問題意識が一致したのでこれだけスピーディに歴史的合意に至ったのでしょう。
バイデン政権は40年続いた独占に寛容な政策を転換しようとしているようです。IT企業は企業買収を繰返し競合を吸収して競争を回避してきたと非難しています。