仕事に役立つ情報

【ビジネスマン必読】7分で把握 1週間の日経トピック〔2021 6/28~7/4〕

毎日、新聞を読むの大変ですよね。ビズネス会話で使えるトピックを短時間で把握したい方、必読です。1日1つ日経新聞から記事をピックアップして関連知識を解説します。7日分で約7分で読めます。短時間で『知ってるビジネスマン』に変身しましょう! 今週は大手ITへの課税の記事が印象的でした。

【執筆】松本タケル〔ペンネーム〕 大手企業で特許戦略に携わる弁理士。法律だけでなくネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストの資格を有しITにも精通。TOEIC 850点。趣味はスキルアップとビジネスに役立つ知識を収集すること。

太陽光発電でガス製造

太陽光発電でガス製造
東京ガスが実験 欧州でも動き


化石燃料からつくる都市ガスを再生可能エネルギーの電気でつくった水素と、二酸化炭素を混ぜてつくる動きが広がってきた。

2021年6月28日(月) 日経新聞朝刊

太陽光発電でガス製造、東京ガスが実証へ 欧州でも動き: 日本経済新聞 (nikkei.com)

東京ガスが実用実験を始めるとのことです。太陽光の電気でまず水素をつくり、これにビルなどから回収する二酸化炭素をまぜて合成してメタンガスをつくるそうです。この手法を「メタネーション」というそうです。

このメタンガスは回収した二酸化炭素から作られているので排出量を実質ゼロにできるそうです。これは、CO2排出低減だけではなく、石油などのエネルギー資源を海外に頼る日本にとっても重要な技術と感じます。

太陽光発電は日本でも可能です。そこから水素を作り活用、さらにこの水素からメタンガスを作って活用ということができればエネルギーの自給ができるようになります。

太陽光や風力の発電コストをいかに落とせるかが課題です。これが実用なレベルになれば自給の道が開けます。未来の日本の姿を先取りする取り組みだと思います。

5Gインフラ 費用4割削減

5Gインフラ 費用4割削減
基地局クラウド化、ベライゾンも

携帯電話の通信インフラをクラウド上のソフトウェアに置き換える動きが広がっている。

2021年6月29日(火) 日経新聞朝刊

これまで専用に作られていた携帯電話の基地局をクラウドサーバーで代用することでコストを抑える技術が広がりつつあるということです。実用化されたエンドユーザーの通信料も下がるかもしれません。

電波のやり取りを行う部分は専用品が必要ですが、その先はコンピュータのネットワークと同じように扱うことができます。

通信のタイムラグや処理時間を考えるとこれまで専用の設計が必要でしたが、クラウドの技術が急速に発展してソフトウェアの制御が可能なレベルになってきたのです。

クラウドの大手はアマゾンのAWS、マイクロソフトのAzure(アジュール)、Google Cloudです。クラウドの進展によりこれらITの巨人の寡占がますます進むことには懸念があります。

フェイスブック訴訟で「門前払い」

フェイスブック訴訟で「門前払い」
米巨大IT規制 難路に
独禁法改正 議論加速へ

米ワシントンの連邦地裁が28日、米連邦取引委員会(FTC)などがフェイスブックなどを訴えた訴訟で、原告側の主張の多くを退ける判断を下した。

2021年6月30日(水) 日経新聞朝刊

2012年にフェイスブックが買収したインスタグラムや、2014年に買収したワッツアップの買収は違法などとFTCが主張していた訴訟です。FTCが内部の反対意見を押し切って訴訟をしたようです。連邦地裁は独占の根拠を十分に示せていないと判断して棄却という判断をしました。

最近、課税方法など巨大ITの活動を規制する動きを示す記事が多くみられますが、今回の判断はその動きに水を差すものになりそうです。

10年前に買収した企業について、あとからダメと言われる可能性があるとすれば企業側としてはたまったものではないですね。買収の場合、日本だと公正取引委員会に事前相談をします。アメリカでも事前にFTCなどに相談した上で買収に踏み切っているはずです。

そのプロセスを経ていても訴求的に問題とされるなら企業活動が萎縮してしまいます。巨大ITの独占が問題になっている事実は理解しますが、不当に活動を制限するのは問題でしょう。

「宇宙通信」を商用化

「宇宙通信」を商用化
マスク氏「8月までに世界で」

人工衛星などで通信網を代替する「宇宙通信」が商用化に動き出す。

2021年7月1日(木) 日経新聞朝刊

テスラのCEOでもあるイーロン・マスク氏が率いるスペースXの巨大衛星網を使ったネット接続サービスです。これまで1500基もの衛星を打ち上げており、約1万2000基を打ち上げる計画だそうです。アマゾンも同様のサービスを計画しているそうです。

世界にはネットにアクセスできない人が40億人いるそうで、この格差是正は商機があるとみているようです。

衛星通信網といえばかつて、イリジウムという名前の衛星による通信網を思い出します。サービスは終わったと思っていたのですが継続しているようです。最初に手掛けた企業は破産したようですが、貴重な通信手段として別の会社が引き継いでいるようです。

イリジウムの衛星は66基なので、今回のスペースXの計画による衛星数は桁が違います。マスク氏はきっと、世界隅々まで行きわたらせることを意識しているのでしょう。

法人課税 大枠で国際合意

法人課税 大枠で国際合意
130か国・地域、23年導入めざす

経済のデジタル化に対応した国際的な法人課税ルールを巡り、経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む130か国・地域が大枠合意した。

2021年7月2日(金) 日経新聞朝刊

これが実現されると歴史的なことです。巨大ITを念頭に利益率が10%を超えた部分について20~30%を、その国・地域での売上高に応じて分配する方向とのことです。

巨大ITはインターネットを通じてサービスをするので、製造業のよりも課税しにくい問題がありました。私は製造業に所属しているのですが、巨大IT企業の税率の低さについては不公平を感じていました。

巨大ITももちろん投資をしています。グーグルは広告の入り口となるサーチエンジンに毎年、巨額の投資をしています。データを無料で預かるのでサーバー資源も整える必要があります。無料でサービスを提供してはいますが、取得したデータを彼らはターゲット広告に利用しています。データに価値を認めると、無料で使っていることにはなりません。

製造業のように工場を持つ必要がないのはサービスはネットワークを超えて瞬時に提供されるので課税がしにくいのは事実でした。今回の歴史的な合意で製造業とIT企業の課税の不平等がいくらかは改善されることでしょう。

デジタル課税10兆円規模

デジタル課税10兆円規模
日経試算、世界81社対象

OECDに新たに課税できる規模は年1000億㌦(約11兆円)超になるとみている。

2021年7月3日(土) 日経新聞朝刊

1日前に大筋合意をしたとの記事があったデジタル課税の関連記事です。合意について新たな情報はありませんが、試算が掲載されていました。

GAFAの税負担率は15・4%で世界平均の25・1%よりも約10ポイント低いそうです。巨大な利益を上げているのに10ポイントも低いとなると課税回避を言われても仕方がない気がします。一方、制度設計はまだまだ不明確なようです。現在の基準だと日本企業ではソフトバンクやNTT、トヨタ自動車なども入る可能性があるとのことえです。

これらの企業は現地での納税が多いので実際には税負担が大きく増えないとの推定ですが、仮に大幅に増えるとなれば、その企業の成長性を奪ってしまうので心配です。

一方、特定の企業を網に掛けるための例外だらけの規定を作ると将来に禍根を残します。10月末の最終合意を目論んでいるとのことですが、まだ二転三転するかもしれませんね。

ウイグル問題 太陽光発電に影

ウイグル問題 太陽光発電に影
パネル主原料、5倍に高騰

主要な原材料であるシリコンの世界生産の約4割を新疆地区が占め、人権問題で供給に影響がでる懸念が浮上したためだ。

2021年7月4日(日) 日経新聞朝刊

太陽光発電のパネルに使われるシリコンの8割が中国産で、その半分が新疆地区で作られているそうです。価格高騰の発端は、新疆地区の工場火災だったそうです。その後、米政府が強制労働を理由に中国製パネルを貿易制裁の対象にするか検討していることを明らかにし更なる価格上昇につながったとのことです。

中国産というだけでなく、製造業はサプライチェンの上流から下流まで目を光らせなければならない時代になってきてます。強制労働だけでなく、上流、下流の企業から自社の情報が漏洩する可能性があり情報管理やサイバーセキュリティの対策にも気を配る必要があります。

難しい時代になってきたと思います。そういう管理ができていない会社は市場から退場せざるを得ないこともあり得ます。半面、しっかり対策をしていることをアピールすることで企業価値を上げることにつながるかもしれません。その点ではポジティブに対応すべき事柄ともいえますね。

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