仕事に役立つ情報

【ビジネスマン必読】7分で把握 1週間の日経トピック〔2021 6/8~6/13〕

毎日、新聞を読むの大変ですよね。ビズネス会話で使えるトピックを短時間で把握したい方、必読です。1日1つ日経新聞から記事をピックアップして関連知識を解説します。7日分で約7分で読めます。短時間で『知ってるビジネスマン』に変身しましょう! 今週も自動運転からトイレットペーパーまで様々でした。海外系の記事も複数、取上げました。

【執筆】松本タケル〔ペンネーム〕 大手企業で特許戦略に携わる弁理士。法律だけでなくネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストの資格を有しITにも精通。TOEIC 850点。趣味はスキルアップとビジネスに役立つ知識を収集すること。

ソフト更新で走行性能向上

ソフト更新で走行性能向上

トヨタ自動車は7日、自動車のソフトウェアを更新することで走行性能を向上させるサービスを始めると発表した。

2021年6月8日(火) 日経新聞朝刊

店舗に車両を持ち込むと走る機能などのソフトウェアのアップデートができるとのことです。トヨタの新車のサブスクサービスのKINTOの利用が前提だそうです。

この記事にも記載がありますが、米テスラの電気自動車は無線経由でアップデートが可能です。店に持ち込む必要がないテスラの方が進んでいると言えます。

一方、通信経由だとセキュリティ面に配慮が必要になります。車の走行は誤ると人命に直結します。ハッキング等で誤ったデータに書き換えられることは避けないといけません。そこに難しさがありますが、テスラは数歩先を行っています。

また、通信ユニットを搭載することは特許的な配慮が必要です。現在、Avanciという会社が通信関連特許を各社から集めて自動車会社からロイヤリティを取ろうとしています。2Gから4Gの特許を使う場合は1台15ドルの支払いを求めています。高額なライセンス料といえます。自動車会社は特許の面も配慮が必要になっています。

客の来ない「薬局」

客の来ない「薬局」
居座る権益 実情に合わず

2021年6月9日(水) 日経新聞朝刊

客の来ない「薬局」 居座る権益、実情に合わず: 日本経済新聞 (nikkei.com)

2014年に最高裁まで争った結果、一般用医療品(大衆薬)の通販が解禁されました。しかし、厚労省が 「販売主は有形の店舗であること」 と省令で定めたそうです。その結果、インターネットで薬を売る事業者は実店舗の薬局を作り、そこに陳列してそこからしか売ることができないそうです。

この理由で表題のような「客の来ない薬局」ができるという状態になっています。私の推測ですが、薬局には薬剤師が必要です。薬局を置かなくなると薬剤師の働き先が減ります。そのあたりの業界の利権が働いたのではないでしょうか。

こんな無駄なのことをしていると、世界からみた日本の産業競争力が落ちるとしか言いようがないと思います。最高裁まで争っても、省令という抜け道で制度を骨抜きにしてしまうのはいかがなものでしょうか。

第一類医薬品が薬剤師がいないと買えないのも既得権の保護と感じます。薬剤師不在なことが多く結局変えない始末です。

高速クラウド技術に死角

高速クラウド技術に死角
大規模通信障害


データ通信料の急拡大を受け、通信速度の低下防止などクラウドを使う新たなサービスが普及する中、今回はここで障害が起きた。

2021年6月10日(木) 日経新聞朝刊

このニュースはテレビで見ていたのですが、聞いたことがないファストリ―という企業の通信障害だと知り疑問に思っていましたが、この記事で謎が解けました。ファストリ―はCDNというサービスを行っている事業者です。

CDNはコンテンツデリバリネットワークの略です。ネットを使ったサービスは様々なデータを端末にダウンロードします。地理的に遠くにあるサーバーのデータをダウンロードすると時間がかかり表示までの時間が長くなったり、アプリが止まっているように見えたりします。

そこで、世界中の各地域にサーバーを置いてできるだけユーザの近くにデータを置くのがCDNに原理です。単純に世界中のあちこちにデータを置くのがいいかといえばそうではなく、各地域のサーバーのデータが一貫性を保つ必要があります。例えば、ホームページを更新したらどこからアクセスしても同じものが表示される必要があります。

そのため、世界中のサーバーのデータを更新する必要があります。そのサービスを提供している事業者の1つがファストリ―ということです。

Amazonが提供するクラウドサービスAWSにも「Amazon CloudFront」というCDNサービスがあります。私はAmazonがこれらサービスを作っていると思っていましたが、AWSで動くサービスもその先に別の事業者のシステムが動いているようですね。

トイレ紙、家庭で「長尺」浸透

トイレ紙、家庭で「長尺」浸透
1ロールの長さが通常の1・5倍以上の「長尺」の家庭用トイレットペーパーが増加している。

2021年6月11日(金) 日経新聞朝刊

この記事の内容に興味を持ったのは単に1ロールが長いというだけでなく、その副次的効果についてです。これまでは、「3倍巻」と書いても包装が小さいとお買い得感がなく消費者に受け入れられにくかったそうです。

しかし、コロナ禍で家で過ごす時間が長くなると交換頻度が上がったため、買いに行く頻度を下げたいという要望に沿うようになっているとのことです。また、輸送する場合もたくさん運べるのでCO2排出も減らせるそうです。また、単に長く巻くだけではなく、独自技術で柔らかい肌触りとなるように工夫しているそうです。

消費者も投資家も環境意識が高まっています。このように、新技術で環境対応していくのは大変、重要な取り組みです。消費者側も「ロールが少ないから損した気分になる」と言わずに意識を変えていく必要がありますね。

東南ア酒類規制 飲料大手に打撃

東南ア酒類規制 飲料大手に打撃

東南アジアで相次ぐ酒類規制が飲料大手の成長戦略に影を落としている。

2021年6月12日(土) 日経新聞朝刊

シンガポール取引所でIPOを予定していたタイ・ビバレッジは、市況の不確実性を理由にIPO延期したそうです。東南アジアでは飲酒運転防止など、酒類の締め付けが強まる可能性があるそうです。

タイでは購入者の年齢が把握できないとの理由で酒類のネット販売が禁止されたそうです。東南アジアを成長市場と考えていた日本を含む海外勢に影響があることでしょう。

その打開策が「ノンアルコール」だそうです。しかし、すぐに市場が立ち上がるかは不明です。日本ではいち早くノンアルコールビールなどが発売されていますが、浸透までにだいぶ時間が掛かっています。

私も休肝日をつくろうと思い、週に1,2回、ノンアルコールビールを飲みます。だいぶ、ビールに近くなった印象です。しかし、同じものとはとうていいえません。「ジュースや炭酸を飲むよりはビールを飲んだ気分になる」というレベルです。アルコールという重要な要素が欠けている以上、仕方のないことです。

20年ほど前を思い出すと日本も飲酒運転に寛容でした。その後、厳しく取り締まられるようになりました。時間ずれで日本と同じ現象が起こっている国には、どのようにアプローチしていけばいいか自国での先例があるので活用しない手はないですね。

米IT競争政策の転機に

米IT競争政策の転機に
議会、独禁法改正議論へ

米議会で反トラスト法(独占禁止法)の改正に向けた議論が動き始める。・・・中核は「プラットフォーム独占終了法」と呼ぶ法案で、米利用者が月5000万人を上回り、時価総額が6000億㌦(約66兆円)を超す企業への適用を想定する。

2021年6月13日(日) 日経新聞朝刊

明らかにGAFAを狙い撃ちにする法案です。時価総額が66兆円以上だと、日本には該当企業がありませんね。具体的には、利益相反となる事業の保有を禁止する、プラットフォーム上で自社製品の優遇を禁止、M&A時に当局に支払う手数料を引き上げるなどだそうです。

GAFAは納めている法人税が低いことでも議論があります。イノベーションを推進してきたGAFAですが巨大になり大量のデータを保有するようになり力を持ちすぎたのでしょう。様々な方面で事業環境が厳しくなりつつあります。

ただし、独占禁止法は市場支配力を見て判断されます。市場で独占的地位をもつ企業が行った行為に対して適用がされます。逆に言うと、シェアが少ないなど市場支配力がない場合は適用されないことになります。一律に「これをやったらダメ」ではなく、市場の中でどのような位置にいるかが適用の判断には重要になりますね。

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