仕事に役立つ情報

【ビジネスマン必読】7分で把握 1週間の日経トピック〔2021 5/3~5/9〕

毎日、新聞を読むの大変ですよね。ビズネス会話で使えるトピックを短時間で把握したい方、必読です。1日1つ日経新聞から記事をピックアップして関連知識を解説します。7日分で約7分で読めます。短時間で『知ってるビジネスマン』に変身しましょう! 今週は特許、不正競争防止法などの法律関連、自動運転の基本なども解説しています。

【執筆】松本タケル〔ペンネーム〕 大手企業で特許戦略に携わる弁理士。法律だけでなくネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストの資格を有しITにも精通。TOEIC 850点。趣味はスキルアップとビジネスに役立つ知識を収集すること。

歯の減少でうつ増

歯の減少でうつ増
食事や笑顔に影響

東北大学 相田教授や草間太郎助教らは、年をとって歯を失うと、笑う、話すなどの活動をためらうために抑うつになりやすい傾向があることを突き止めた。

2021年5月3日(月) 日経新聞朝刊

歯の減少でうつ増、食事や笑顔に影響: 日本経済新聞 (nikkei.com)

今回は教授らの調査で歯の数と抑うつに相関があるこをと突き止めたのですが、AI活用が可能な考えと思い取り上げました。

この研究では人間が想像できる仮説に基づいて研究を開始したと思われます。歯が少ない、だから笑わない、その結果うつになる、という流れです。

一方AIは人間が想像できない相関関係を見つけることができます。大量のパラメータとその出力からどのパラメータが結果に強く関係するかを自動的に学習します。

そこが素晴らしさでもあり怖さでもあります。素晴らしさは上記の通りですが、怖さは「なぜそのような結果になったか分からない」ことです。AIが出した結果だからと信じていいのか分からないということです。

そのために『説明が可能なAI』も研究されています。SNSでの「いいね!」を集めて分析すると、配偶者よりもその人の性格や嗜好がわかるともいわれています。知らないところでデータが解析されることへの懸念も払しょくが必要ですね。

ATM脱自前で合従

ATM脱自前で合従
SBI・地銀連合、24年メド共通化

2021年5月4日(火) 日経新聞朝刊

日本は現金主義でキャッシュレスの後進国といわれています。そんな中でも紙幣の需要は減ってきておりATMの運用コストが銀行の重荷になってきています。

ATMの維持費は年間で数百万円だそうです。日本がキャッシュレスで遅れていた理由の1つがあちこちにATMがあるからであるとも言われています。

もしかしたら新型コロナの蔓延がなければ変化のスピードは遅かったかもしれません。しかし、コロナ影響で非接触を望む人が増え紙幣が敬遠されるようになりました。

現金主義だったお年寄りもキャッシュレスを使ってみると意外と簡単で便利さを感じているとも聞きます。この先はATMの数は増えることはないでしょう。

銀行もネット銀行が増え、店舗も統廃合が進んでいます。うちの近くにも住宅街に大手銀行の出張所があったのですが昨年末になくなりました。

それはそれで少々不便なのですが時代の流れと思うことにしています。私が関わっている車業界は100年に一度の技術革新の時代と言われていますが、もしかしたら銀行も大きな変革期に来ているのかも知れないですね。

ワクチンの特許 米政府「放棄も」

ワクチンの特許 米政府「放棄も」

米政府が新型コロナワクチンの国際的な供給を増やすため、特許権の放棄に前向きな姿勢を見せている。

2021年5月5日(水) 日経新聞朝刊

米国がワクチンの独り占めしているとの批判が背景にあるようです。特許は国ごとに成立します。アメリカ企業はアメリカで特許を取っています。通常は自国で特許を出願して、それをベースに他国にも出願します。特許の審査は国ごとに行われます。維持費用は各国に支払うので、世界中の国で特許を取ると莫大な費用がか掛かります。そこで国を絞ることになります。

特許が取られていない国では他国の特許は及ばないので自由に実施できます。どのくらいの数の国まで出願するかは業界で異なります。電気電子の分野は大量の特許で製品が成立します。全特許を全世界に出願すると費用負担が大きいので国を主要国に絞ります。一方、この記事のような製薬会社は特許数は多くありません。1つの成分で1つの特許といったイメージです。つまり製薬業界は1件の特許の価値が大きいのです。従って、製薬業界は電気電子業界よりも多くの国に特許を展開します。その企業の許諾を受けないと生産などの実施ができない国が多くあるということです。

製薬会社は莫大な投資をして薬品開発をしています。真似されると投資回収できません。その点では単純に放棄することは今後の研究開発への投資を低減させるので私は好ましくないと思います。行うなら放棄ではなく、低額ライセンスアウトでしょう。また、特許だけでは製品が作れず、生産上の様々なノウハウが必要です。他国の企業が作れるようにするなら特許の放棄だけでは実現不可能です。製薬業界が特許を放棄した上でノウハウまで開示することは私はあり得ないと思います。

ソフトバンク、楽天と元社員を提訴

ソフトバンク、楽天と元社員を提訴

2021年5月7日(金) 日経新聞朝刊

ニュースでも大きく取り上げられていたのでご存じの方も多いでしょう。ソフトバンクを退職した社員が楽天モバイルに転職し、その際に5Gの情報を持ち出したとの容疑が掛かっている件です。

根拠となる法律は不正競争防止法です。略して不競法ともいいます。ソフトバンクのホームページの発表によると、楽天モバイルと同社元社員への損害賠償だけでなく、基地局の差止・廃棄などを請求しています。

不競法における営業秘密に該当するには3つの要件があります。①有用性、②秘密管理性、③非公知性です。

事業活動に有用ではない情報は保護の意味がありません(①)。②はしっかり秘密管理をしていることを要求しています。資料に「秘」のマークを入れるなどです。

ちゃんと秘密管理していない場合は漏洩しても法で保護されません。③は既に公知になった情報は一般に入手できるので保護の意味がありません。

この3要件は覚えておいて損はありませんね。

バラバラの水素政策 求む 脱炭素の司令塔

バラバラの水素政策 求む 脱炭素の司令塔

官民の足並みがそろう欧米に対し、ちぐはぐな水素政策が目立つ日本。

2021年5月8日(土) 日経新聞朝刊

最近、水素関連の記事が増加している気がします。日本はトヨタ自動車がFCVを最初に販売したのは2002年。水素分野は先行できたはずなのに、最近は日本は社会実装が遅れている印象です。

欧米は民を官がバックアップする体制が整っています。

歴史を振り返ると日本が技術や特許で勝っていたのにビジネスで負けた例は多くあります。DVDプレーヤーなどもそうです。当時の日本は製品を垂直型で自前で作っていました。

しかし、デジタル化の進展で技術があっという間に国境を超えるようになりました。そうすると、新興国で製造されコスト力で勝てなくなってしまいました。

技術や特許のライセンスアウトで日本は稼ぐことはできましたが新興国はライセンス料を払っても儲かるコスト力がありました。

これまでに無いものを社会に実装していくには民間の力だけでは難しいです。日本が遅れているいう記事は読んでいてストレスが溜まります。

現在進行中のワクチン接種の遅さも同じです。民間ももちろんですが官僚側の奮起も期待したいです。

運転手の体調急変 事故増

運転手の体調急変 事故増
バスやタクシー、進む高齢化

2019年の統計で運転手の疾病が原因で運転を取りやめたケースは6年間で2・4倍に増えた。

2021年5月9日(日) 日経新聞朝刊

20年3月時点で全国のタクシー運転手の46%が65歳以上だということです。これには驚きました。

突然の体調不良による事故を完全に防ぐには自動ブレーキや自動運転などの先進技術の導入しかないと思います。

自動運転のレベルは5段階あります。これはビジネスネタとして覚えておいて損はないでしょう。

レベル0 ドライバーが運転

レベル1 アクセル・ブレーキ、または、ハンドルのどちらかをシステムが操作(システムが操作しない側は運転手が行う)

レベル2 アクセル・ブレーキとハンドルのどちらもシステムが操作(運転手はいつでも運転できること)ハンズオフ

レベル3 決められた条件下でシステムが自動運転(運転手がいつでも戻れること)アイズオフ

レベル4 決められた条件下でシステムが自動運転(人間は操作不要)

レベル5 条件のない自動運転(人間は操作不要)

今年3月には本田がレベル3の自動運転機能がついた乗用車の販売を発表しました。ただしこの車も高速道路で、かつ時速50km以下という条ん付きの機能です。とはいえ、一定条件下で全ての運転をシステムに任せられるのはすごいことです。

この機能をあらゆるタクシー・バスに導入するのは相当なコストが必要です。まずは運転手の体調不調を検知して自動で停車するような機能が必要だと思います。あとは、運用面で体調不良が言い出しやすくすることが必要ですね。その場合に不利に扱わないなどを決めておくことで不慮の事故を事前に回避できると思います。

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