新規ビジネスやイノベーションに関する気になったニュースを1日1つ紹介。
人権配慮の調達 企業急ぐ
人権配慮の調達 企業急ぐ
2021年4月26日(月) 日経新聞朝刊
アサヒGHDや東芝など
日本企業が人権侵害を避けるためにサプライチェーンの見直しを急いでいる。海外の取引先で自動労働や強制労働がないかを調査し、必要に応じ調達先の切り替えを進める。
人権配慮の調達、企業急ぐ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
このようい企業が人権侵害を把握して予防等をすることを人権デューデリジェンスというそうです。
原材料がどこからくるか分かりません、という時代は終わりを告げています。サプライチェーンの川上から把握しないと川下企業は大きなリスクを負う可能性が出てきます。
これはSDGsの考えにも盛り込まれています。海外に材料を卸している地方の小さな会社が海外の親会社の監査を受けたとき驚いたという話を聞いたことがあります。
品質管理などを問われると思って準備をしていたら、開口一番「あなたの会社は児童を就労させてないですよね」と聞かれたそうです。
品質ももちろん大事なのですが、サプライチェーンに人権侵害を含むことも同様に大きな問題になると企業も認識しているという一例です。
これらの状況を把握する新たなビジネスも興ってきそうですね。
6G「電電」ファミリー」で開発
6G「電電」ファミリー」で開発
2021年4月27日(火) 日経新聞朝刊
NTT、富士通と提携
6G向けの基盤技術と見込む光通信技術「IOWN(アイオン)」の開発に富士通が協力する。
5Gでは存在感が出せなかった日本勢が6Gに向けて動き始めています。光信号と電気信号を融合する光電融合技術の実用化を進めるとのことです。
防衛の側面でも国産の機器が使える選択肢は持っておくべきカードだと思います。
IOWNの構想自体はNTTが数年前から提唱しているようです。NTT自体も仲間を増やして共同研究をしていくスタンスです。
古くはiモードが日本だけの仕様となり世界に広がらなかったのは国レベルでの仲間作りがうまくできていなかったからでしょう。
日本発の有用な技術やイノベーションが減ってきているので日本を代表する通信大手としてNTTには期待したいですね。
ポルシェ、水素で「ガソリン」
ポルシェ、水素で「ガソリン」
2021年4月28日(水) 日経新聞朝刊
エンジン、EVと共存図る
先日、トヨタが水素エンジンの技術開発に取り組むと発表しました。今回のポルシェの取り組みはこれとは異なります。
トヨタはエンジンに水素を送り込んで燃焼をさせます。ポルシェの場合はガソリン自体を作ってしまおうというものです。
まず再生可能エネルギーで作った電気で水を電気分解し水素を作ります。この水素とCO2を科学的に合成するとガソリンと同じ成分の燃料が作れるそうです。
使う電気が再生可能エネルギーなのでCO2排出が減るという理屈です。
水素の用い方は異なりますがトヨタもポルシェも既存のガソリンエンジンの技術を水素を活用することで延命する術を探っているように思えます。
世界がEVにシフトしつつあります。EVは電池とモーターで走るのでエンジンは不要です。エンジンの車が数十年で本当になくなってしまうのでしょうか?
私は形を変えてでも生き延びる気がします。今回のポルシェのような取り組みを注視したいです。
水素エネ普及に3700億円
水素エネ普及に3700億円
2021年4月29日(木) 日経新聞朝刊
経産省、2兆円基金から配分
脱炭素技術の開発などを支援する2兆円の基金があるそうです。経産省は初めてその分配を明らかにしたそうです。
エネルギに関連する資源の多くを輸入する日本では、国内製造できるようにしておくことも重要だと思います。
トヨタなどが早々に水素で走る燃料電池車を市場投入するなど、水素関連は数少ない日本がリードできる可能性がある分野です。
是非、国もバックアップして官民挙げて技術開発を進めてほしいですね。
法務人災紹介 パソナが傘下に
法務人災紹介 パソナが傘下に
2021年4月30日(金) 日経新聞朝刊
パソナグループは法務分野に特化した人材紹介を手掛けるモアセレクションズを子会社化する。
小さい記事でしたが私が法務に近い部門である、知的財産部門にいるので気になって取り上げました。
大手の会社には法務部門のスタッフがたくさんいます。契約が発生する場合、必ず法務的な判断が必要になります。
中小企業にも法務部はあると思いますが、外部の法律事務所に仕事を依頼し自社にスタッフがいない場合もあります。
自社に法務がいない会社を「法務レス」とうまく言っていた人がいましたが(決して揶揄しているわけではありません。法的判断は重要なので法務的な思考は絶対いると言いたかっただけです)そういう中小企業はまだ多くあります。
私のいる知的財産部門は法務部門よりももっと扱いが脆弱です。契約が必要なら法務は必要ですが知財部門は無くても直接困らないことが多いからです。
しかし、中小企業でも知財紛争を経験したり、自社の有力技術を特許で押さえてそれで表彰されたなどの場合は知財に重点を置くようになった会社は多くあります。
無くても何とかなっているように見える知財、でもうまく使うと競争力強化につながる知財。私もこの業界にいる身として事業に役立つ知財活動を盛り上げていきたいです。
メルカリ 中高年つかむ
メルカリ 中高年つかむ
2021年5月1日(土) 日経新聞朝刊
30日に2021年度6月期の連結最終損益予想がゼロから21億円の黒字(前期は227億円の赤字)になると発表した。上場以来、初の通期黒字が射程内に入った。
メルカリは18年にユニコーン企業として上場しました。そんなメルカリですがこれまで黒字になっていなかったのは驚きです。
プラットフォームを作るビジネスの難しさを感じます。そもそも、ネットでフリマのように売る文化がないところに新たな文化を作るわけで、企業は宣伝などを通して文化形成の努力がいります。
そのために初期投資が掛かってしまいます。
一方、楽天のラクマなど競合より手数料が高いメルカリですが先行者利益があり1強のようです。初期投資はかさみますが一度、最強になると皆が使い続けるということですね。
沢山の人が使えば使うほどどんどん便利になり普及する効果を『ネットワーク外部性』といいます。LINEもそうですね。同じような機能のアプリを作るのは難しくないです。しかし、アプリを作ってもLINEにとって代われないのはLINEが多くのユーザーを獲得しているからです。
「LINEのID交換しよう」と言えるのは、LINEを使っている相手が多いからといえます。「新しいビジネスを思いついたので実行しよう!」と思っても、アイデアだけでは成功が難しく、当初4,5年は赤字でも耐えて文化をつくるアプリを使ってもらうための資金力が必要ですね。
「患者より経営」の民間病院
「患者より経営」の民間病院
2021年5月2日(日) 日経新聞朝刊
政府の資金支援も空回りしている。1床当たり次第1950まん延支払う補助金に約2700億円を用意したが・・・補助金は実際に病床を確保してから支払われる。
コロナ対応のため病院が設備投資しようとしても、実際に投資してからでないと補助金が出ない制度とのことです。その他、日本は小規模病院が多いなどの理由で人口あたりの急性期病床数は先進国最多なのに病床が確保できない問題が起きているとのことです。
今、ワクチンの接種を日本でも開始しましたが先進国では接種率は最低です。正直、政府は「カッコ悪い」です。新型コロナにかかった人数の絶対数は少ないのに接種率が遅れているために、国際社会からは「経済回復が遅い」とみなされています。
病床にしてもワクチンにしても予期された問題であり、これに対処できていません。今回、この記事を取り上げたのは政府だけでなく日本企業も同じような状態になっている気がしたからです。
日本企業は投資などの意思決定のスピードが遅いです。私も大手企業と呼ばれるところに勤めていますが、何かしようとしても、誰さんに説明して、次に誰に説明して・・・・・・と延々と社内調整が続きます。
そのうち、何かを進める意欲が減退していきます。これでは国としても企業としても勝てないです。とくに、リーダーシップを発揮すべき位置にいる人間は肝に銘じないといけないですね。