新規ビジネスやイノベーションに関する気になった、1週間のニュースをまとめて紹介。
共同配送 基盤づくり奔走
共同配送 基盤づくり奔走
2021年2月22日(月) 日経新聞朝刊
ハコブは企業間物流システム「MOVO(ムーボ)」でトラックの入出荷の情報を管理する。
物流データから共同配送を提案 基盤づくりに奔走: 日本経済新聞 (nikkei.com)
ハコブはトラックの入出荷の情報を分析して運送会社に最適な共同配送を提案するシステムを提供しています。
社長の佐々木氏は物流現場で荷物配送の依頼が分厚いファックスの束になるくらい送られていくるのを目にし、この事業を思いついたそうです。
現場にある不都合な部分をみつけていかに解決するかが新規ビジネスにつながります。不都合は痛み(ペイン)と呼ばれていなす。ユーザのペインの発掘が重要ですがこれが意外と難しいのです。
そこで、「カスタマージャーニー」という表を書いて検討すると良いです。まず、特定のユーザ像を設定します。年齢・性別・趣味・家族構成などを決めます。これをペルソナといいます。
次にペルソナを空想で動かすのです。これが「ジャーニー」になります。例えば、小さい子供を連れた主婦が電車でショッピングモールまで買い物に行くことを想定します。
家から駅、電車、電車からショッピングモール、買い物中、帰り・・・と時系列で考えながら、その過程のペルソナの感情を空想します。
そうすると、エレベータの場所が分からない、おむつ替えの場所が分からないな不都合が見えてきます。このように、ジャーニーに沿ってその人の感情を紙に書いていきます。これがペインになります。
そこを解決すると、買い物に来てもらい易くなります。これはあくまで空想ですが、その人に成りきり感情を想像するとペインが見えてきます。
ハコブの社長は現場でペインを見つけて事業化につなげたんですね。
中国IT、EV目指す
中国IT、EV目指す
2021年2月23日(火) 日経新聞朝刊
スマホ大手・小米「参入検討」
中国IT、EV目指す: 日本経済新聞 (nikkei.com)
最近アップルもEV(電気自動車)の生産を探っているというニュースがでています。今回は中国のスマホ大手の小米です。
中国にIT大手・百度、アリババもEVに進出するとのことです。小米はスマホ大手ですが、スマホの台数自体は飽和しつつあります。
そこで新たな事業を目論んでいるのでしょう。EVは自動運転とも親和性が良いです。電動化、自動運転には車のネットワーク化が不可欠になります。
つまり車が大きなスマホのようになるのです。ITやスマホ大手からみると現事業と親和性があるように見えるのでしょう。
EVはエンジン車と比べて部品点数が少なく製造しやすいと言われています。
既存のメーカーは過去の設計資産があるがために思い切った設計ができないジレンマがあります。EV大手のテスラの車はほとんど走るスマホです。
大型ディスプレイがドンと搭載され、ネットワークで常にソフトウェアをアップデートしています。買った後も機能が拡張されていきます。
今回の報道の異業種からの進出は既存の車メーカーには大きな脅威になるでしょう。
トヨタの「未来都市」着工
トヨタの「未来都市」着工
2021年2月24日(水) 日経新聞朝刊
自動運転・つながる車・・・実証の街
トヨタの「未来都市」着工 静岡・裾野に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
トヨタ自動車が静岡県裾野市に「ウーブン・シティ」という未来都市を作ろうとしています。トヨタの工場があった場所です。ウーブンとは「編まれた」という意味で、自動運転モビリティ専用、歩行者専用、歩行者とパーソナルモビリティが共存する3本の道を網の目のように織り込み、地下にはモノの移動用の道を1本つくるそうです。
トヨタは日本で最大の時価総額を有する企業です。創業家の豊田 章男氏が社長を勤めています。トヨタとして11代目の社長です。過去にずっと創業家が社長だったわけではなく11人のうちの6人が創業家です。
トヨタは創業家の力をうまく求心力につなげている会社に見えます。豊田 章男氏は英語で長時間のプレゼンをこなし情熱が全面に出ておられる印象です。創業家社長が何代か続くと会社が悪い方向に進んでしまう場合も多いですがトヨタは異なります。
車業界は100年に1度の技術革新を迎えています。電気自動車の米テスラが時価総額でトヨタを上回るまでに至っています。トヨタも安泰ではありません。旧来のエンジン車が急になくなることはないと思いますが、豊田社長のプレゼンを聞くと危機感が強く伝わってきます。このウーブン・シティも革新的な車社会を作るための大きな取り組みなのでしょう。日本の電機メーカーが凋落する中、日本の製造業で世界に通用する数少ない製品が車です。是非、頑張っていただきたいです。
オートロックでも配達 工夫続々
オートロックでも配達 工夫続々
アマゾンジャパンは4月、オートロックのマンションでも玄関前に荷物を置いておく「置き配」が利用できるようにする。
2021年2月25日(木) 日経新聞朝刊
オートロックでも配達工夫続々: 日本経済新聞 (nikkei.com)
これまでオートロックのマンションは複数の届け先があっても1軒ずつ立ち入り許可を取る必要があったそうです。アマゾンはALSOKなどと組んで専用の装置を設置して配達員がアプリで解錠できるようにするそうです。
私もアマゾンをかなり利用しています。新型コロナで在宅率が上がるとインターネット販売は伸びます。その分、配送への負荷が多大になっています。申し訳ないなと思いつつ小口で買ってもちゃんと届けてくれます。
配送負荷が上がり過ぎると届くのが遅れる場合もあり得ます。配送を効率化することは利用者にもメリットとなるでしょう。「置き配」は普通に行われるようになりました。この制度が成立するのは日本だけの気がするのは私だけでしょうか。簡単に盗まれる国なら成立しませんよね。
エヌビディア、もろ刃の好業績
エヌビディア、もろ刃の好業績
2021年2月26日(金) 日経新聞朝刊
仮想通貨「採掘」熱で半導体品薄
ビットコインのような仮想通貨にはマイニングというコンピュータの処理があり、これを実施することで報酬が得られます。これを宝を探すことに見立てて日本語では採掘と呼んでいます。
このマイニングには大きな計算が必要になります。そのために高性能な半導体が必要です。エヌビディアはGPUと呼ばれる画像処理向けの半導体を販売しておりこれがマイニングに向いているということで数年前にブームになりました。その後、仮想通貨が下落したため需要が急減速してしまいました。
最近、電気自動車を製造・販売する米・テスラ社が15億ドルものビットコインを購入したと報道されました。CO2 排出量を削減し環境負荷を減らすために電気自動車を販売するテスラがビットコインを購入するのは矛盾しているという意見があります。
先に述べたようにビットコインなどの仮想通貨はシステムを維持するためにマイニングを必要としこの計算には大量の電力を使います。余計に電力使うことは発電所の稼働を上げ、環境負荷を上げるという意見です。どんな方法で発電をするかでこの見解は変わってくる気はしますが一理あるなとの印象です。
エアビー10~12月期売上高22%減
エアビー10~12月期売上高22%減
2021年2月27日(土) 日経新聞朝刊
売上高が前年同期比22%減の8億5926万ドル(約910億円)、最終損益は38億8785万ドルの赤字だった。
エアービーアンドビーは米国発の民泊大手です。昨年はIPOを実施し時価総額は一時期10兆円に達していました。しかし、新型コロナウイルスの影響を相当受けたようです。驚きなのは売上減よりもその赤字幅の大きさです。
約38億ドルの赤字というと、日本円で4000億円以上になります。ITビジネスはシステムを作ってしまえば、製造業ほど売上減の影響がないと思っていましたがそうではないようですね。
「パンデミックの中で、エアビーの利用方法は変わってきた」とCEOは言っているそうです。テレワーク需要など新たな利用方法が生まれており、コロナが収まれればエアビーも復活することでしょう。
コロナの一世代前の危機であるリーマンショック下で生まれたアービーアンドビーですが、今回の危機をどう乗り越えるか目が離せないですね。
マスク投機、世界で急増
マスク投機、世界で急増
2021年2月28日(日) 日経新聞朝刊
海に15億枚流出 野生動物も被害
新型コロナにより世界中でマスク需要が急増しています。使い捨てマスクの市場は19年で約850億円だったところ、20年には約17兆6千億円にもなったそうです。
廃棄マスクが原因で排水管が詰まったり、カモメの足に巻き付いたりして野鳥やカニが死んだりしているそうです。
自然に分解する生分解性の素材を使ったマスクもありますがごく一部にしか採用されていません。
マスク先進国だった日本は、廃棄マスクの問題は起こらないと思っていましたがそうではないようです。下水管やポンプを詰まらせるなどの問題が発生しています。
ゴミ箱以外で捨てないというマナー面の向上とともに、捨てても自然に返る素材でできたマスクを安価に大量に生産できる技術革新が待たれますね。